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諫早湾干拓事業に対し、工事の差し止めを命じる仮処分決定を佐賀地裁が下した。有明湾の漁業不振と干拓事業の因果関係を認め、事業規模から工事が進めば再検討が困難になるとの判断からだ(記事)。 本能だけで生きることを捨て、狩猟採取から農耕牧畜へ進んだ人間は反自然の生き物となった。人間が文明的に、便利に過ごそうと思えば思うほど、自然破壊をすることになる。ただし、人間という生物自体は地球環境という大きなエコシステムから解放されているわけではなく、エコシステムを壊しすぎると、自ら破滅の道へ向かう。 もちろん、今から人間全体が狩猟採取の時代に戻ることは不可能だ。だからこそ、再生が可能な範囲で自然を利用し、持続的に活用できるようにしようというコンセンサスができてきた。つまり「取り返しのつかないことはやめよう」ということだ。 この観点から見て、諫早湾の干拓はどうなのであろうか? 干潟はエコシステムの中で大きな役割を持っている。人間は川や海に有機物を含んだ生活排水を垂れ流している。富栄養化した海水はプランクトンを異常発生させ、赤潮の原因となり、エコシステムを大きく崩す。有機物を食べて、浄化しているのが、干潟に住むゴカイ、貝類、カニなどの生き物なのだ。これらの生き物は食物連鎖の最下層のあたり、その上の層の生き物たちの命をはぐくんでいる。また、魚などの産卵床にもなっていることも見逃せない。 東京湾にある三番瀬(1600ヘクタール)は1日当たり13万人分の汚水を浄化する作用があると言われている。諫早湾の干潟は3300ヘクタールだから、30万人分ぐらいの汚水を浄化できる計算になる。 たとえ、1日30万人分の汚水を処理できる浄水場を作ったとしても、その浄水場は食物連鎖を支えることはできず、産卵床になって命の源になることもできない。 そう。ここを完全に干拓してしまっては「取り返しのつかないこと」になるのだ。 もともと、干拓の目的は農地造成だったが、もちろん、現在では意味を成さなくなっている。諫早大水害などの洪水対策になると農水省は主張するが、実は「諫早湾干拓で諫早大水害が防げる」わけではないのだ(記事)。 現状で工事を進める推進力は国の、いや農水省の役人のメンツだけだ。そんなものと、干潟とどちらが大事か。問うことさえ愚かな行為だろう。 この記事が面白かった/興味深かったと思った方は→ブログランキングに1票 by brotherjin | 2004-08-26 14:34 | 自然
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